竹のビーチアニマル「手起梁泉」号

更新日:2011年7月11日

オランダ人アーティストの“テオ・ヤンセン”氏と“佐志生工芸村 BAMBOO-UNIT”による、コラボレーションの記録です。

~風を食べるビーチアニマル~ テオ・ヤンセン展

2011年7月9日から9月30日にかけて、大分県大分市美術館で『~風を食べるビーチアニマル~ テオ・ヤンセン展』が開催されました。

テオ・ヤンセン氏は、海岸を歩く生命体のような作品「ビーチアニマル」で知られるオランダ人アーティストであり、物理学者の顔も持つ世界が認める偉大な芸術家です。

企画展は大分市誕生100年、大分合同新聞創刊125周年の記念事業として催され、佐志生工芸村には大分合同新聞社からコラボレーションの依頼がありました。その内容は地元大分県特産の竹を使用したビーチアニマルの製作です。

大分県臼杵市佐志生は、1600年4月29日にウィリアムズ・アダムス(日本名:三浦 按針)、ヤン・ヨーステン(日本名:耶 陽子)などの乗員を乗せた東インド会社のオランダ船「リーフデ」号が投錨した歴史ある場所です。

私たちは411年の時を経た現代に、オランダ人のテオ・ヤンセン氏とコラボレーションができることを嬉しく思い、“佐志生工芸村 BAMBOO-UNIT”として依頼を快諾しました。

佐志生工芸村 BAMBOO-UNIT

プロデューサー
毛利達男
メカニカル・エンジニア
君山和高氏
ITエンジニア
森宗明氏(クリエイツ代表)
写真撮影
タケウチトモユキ氏
製作クルー
毛利拓斗
毛利隼斗
佐志生工芸村スタッフ一同
2011.6.6

序章、ミニビースト「リーフデ」君、誕生

序章、ミニビースト「リーフデ」君

学研『大人の科学マガジン』の付録、ミニビースト「リーフデ」君です。風車の力を受けて、ゆっくりゆっくり歩みます。

「リーフデ」の名前は1600年に豊後の国“佐志生”に投錨したオランダ船リーフデ号にちなんで名付けられました。

2011.6.7

ミニビースト「リーフデ」君、ランドタワー銀乃竈の前で

ミニビースト「リーフデ」君、ランドタワー銀乃竈の前で

竹のビーチアニマル「手起梁泉」号を製作する佐志生工芸村。そのランドタワーである銀乃竈をバックに「リーフデ」君と毛利達男の2ショットです。

2011.6.9

ミニビースト「リーフデ」君、日豊海岸国定公園を歩く

ミニビースト「リーフデ」君、日豊海岸国定公園を歩く

佐志生の海岸を日豊海岸国定公園の風を受けながら歩くミニビースト「リーフデ」君。411年前に、オランダと日本の友好が始った歴史ある場所です。

2011.6.11

竹のビーチアニマル「手起梁泉」(テオヤンセン)号、いよいよ製作開始

竹のビーチアニマル「手起梁泉」(テオヤンセン)号、いよいよ製作開始

ムーブエンジニア君山和高氏による、「手起梁泉」(テオヤンセン)号の最初の足モデル.1です。

2011.6.14

竹と木の加工

竹と木の加工
大分県竹支援センターを作業場に、竹と木の加工を開始しました。使用する竹は、丸さ6分竹、長さ2メートル。竹の曲がりを選別し、真っすぐな竹は長い部材として、曲がりのある竹は短い部材として切断します。
ジョイント部分を接合
君山和高氏がジョイント部分を接合するための木を加工しています。
ボール盤作業
竹にダボを入れるため、空気を抜く穴をボール盤であけます。
2011.6.16

竹の接合作業

竹の接合作業

佐志生工芸村スタッフによる、竹の接合作業です。竹とダボが抜けないようにしっかりとボンドで接着します。手間と根気を要しますが、この作業を手抜くと「手起梁泉」号の動作に問題が生じます。

2011.6.18

「手起梁泉」号の完成予想図

「手起梁泉」号のパース1
「手起梁泉」号のパース2

完成予想図(パース)が出来上がりました。

テオ・ヤンセン展のコンセプト「海から森へ -from the sea to the forest-」に基づいて、「手起梁泉」号は鳥をイメージした作品に仕上げる予定です。

鳥が歩くような動きになると面白いはずです。「手起梁泉」号のサイズは全長2.5メートル、幅1メートル、高さ1.5メートル位の予定です。

2011.6.21

竹と木を接合

竹と木を接合

竹と木をダボで接合します。木の材料は粘りがあり硬い桜の木を使用しています。先端は凹形に丸く加工し接点のパイプと接合しやすく工夫し、反対側は竹に埋め込んだダボを入れる穴をあけています。冶具を使い長さをミリ単位に決めて竹と桜の木を接合します。

2011.6.24

ホールドを作成

ホールドを作成

竹で組んだ足たちを安定させるための受け具(ホールド)を作りました。竹は節があったり曲がっていたり太さがまちまちで、竹だけで全部を作ろうとすると無理があります。そこで考え付いたのがホールドです。

2011.6.27

ホールドを仮組

ホールドを仮組

ホールドを3連仮組みし、シャフトを通します。コンパネが不要な箇所をくり抜きますが、それでもかなりの重量です。

2011.6.28

塗装から組み立てへ

シャッターを刷毛に持ち替えたタケウチトモユキ氏
仮組みしたホールドをばらし塗装します。ペンキを塗るのはシャッターを刷毛に持ち替えた写真家、タケウチトモユキ氏です。
塗装したホールドとクランクを乾燥させます。
木部の先端にドリル穴を開けている森宗明氏。その昔、家具の設計や店舗デザインに携わっていただけに、作業はお手のものです。
設計図面を見ながら竹を順番に並べます。初めての体験で、まるでパズルのようです。
竹の脚を留め、回転させるための軸を作ります。
一本の軸に10個くらいのサイズの違うパイプ部品をセットします。
軸の両サイドにワッシャーを入れビス止めします。一つの脚で軸は13個、全部で六脚を作ります。
三人がかりで、ホールドを渡し木に固定します。
いよいよ、竹の脚の取り付けです。(作業は毛利達男と君山和高氏)
徐々に形が現れます。動作を試してみると脚が滑らかに動き、スタッフ一同感動です!
地元のOBS大分放送が、取材に訪れました。左端に石川正史アナウンサー、その隣が毛利達男です。
脚の動きをチェックする、メカニカル・エンジニアの君山和高氏。
遊び半分に脚を動かしてみる毛利むつみ。なんだか遊園地のようで楽しそうです。
まずは三つの脚を組み立てました。
2011.6.30

脚の完成をめざして

脚の完成をめざして
残り三つの脚の完成をめざします。まずは、竹のパーツを番号どおりぶら下げます。
何度か組直しながらも、少しずつ完成に近づきます。
六脚全てが完成しました。インシュロックを締め上げ、瞬間接着剤で固めます。
2011.7.6

大分合同新聞に掲載されました

大分合同新聞に掲載

先日取材していただいた記事が、大分合同新聞に掲載されました。

記事を見る

2011.7.7

「手起梁泉」号、組み上げました

「手起梁泉」号、組み上げました
「手起梁泉」号の台座を作り脚の部分を固定しました。自重が重く脚で地面を歩くことが出来ませんでした。苦肉の策で宙に浮かす方法を選びました。
鳥の頭を仮に載せて全体の雰囲気を確認します。
「手起梁泉」号のネームプレートを取り付けました。(ユタカ工芸作)
作業場から大分市美術館に向けて「手起梁泉」号が旅立ちます。
大分合同新聞社に用意していただいた4トントラックで運搬します。
大分市美術館に到着しました。
大分市美術館の学芸員大神氏立会いのもと、鳥の羽根を取り付けます。
鳥の羽根は下地を成形し和紙を三重に張り込んでいます。和紙は輪切りにした草を漉き込んだもので、鳥の羽根を表現しました。
企画展の初日まで、美術館の倉庫で待機します。当日の朝には鳥の頭も付いて完成予定です。
2011.7.9

大分市美術館に「手起梁泉」号現る

大分市美術館に「手起梁泉」号現る
「手起梁泉」号を大分市美術館に搬入しました。エントランスで頭部の据え付け作業を行います。
テオ・ヤンセン氏が作品に使用しているプラスティックパイプを、毛利達男が鳥の口ばしに見立て差し込みます。
森宗明氏が、鳥の目となるライトを結線します。
写真家タケウチトモユキ氏が、ホームページや説明パネルデザイン用の写真を撮影中です。
OBS大分放送局が、生放送「かぼすタイム」の取材にやってきました。
竹のビーチアニマル「手起梁泉」号が、“佐志生工芸村 BAMBOO-UNIT”メンバーの発想と技術力によって、ここに完成しました。
2011.7.10

テオ・ヤンセン氏、佐志生工芸村を表敬訪問

テオ・ヤンセン氏、佐志生工芸村を表敬訪問
オランダ人の世界的アーティスト「テオ・ヤンセン」氏が、佐志生工芸村を訪れました。写真は左からプロデューサーの宮島氏、テオ・ヤンセン氏、テオ氏息子のザック君、毛利達男です。
テオ・ヤンセン氏、ポスターにサイン
『テオ・ヤンセン展』のポスターにサインを頂きました。
2011.7.11

テオ・ヤンセン氏、佐志生の海岸にて

テオ・ヤンセン氏、佐志生の海岸にて

1600年に東インド会社のオランダ船「リーフデ号」が投錨した佐志生の海岸に、411年を経てテオ・ヤンセン氏が訪れました。

オランダと日本が結ばれた佐志生の地で、テオ・ヤンセン氏と毛利達男がオランダと日本の芸術の繋がりを新たに作りました。

2011.7.11

交流パーティー

交流パーティー

テオ・ヤンセン氏とザック君を佐志生工芸村に迎えて、ささやかな交流パーティーを催しました。

地元・佐志生の魚介、野菜、大分冠地鶏などを、毛利むつみ、つむぎ二人の手料理でおもてなししました。

最後に皆で記念写真を撮って大感激でした!!

【完】